はじめに

グリーンインフラによる災害への適応

近年、地球温暖化に伴う気候変動により、自然災害の激甚化が懸念されています。特に北西太平洋地域では非常に強い台風と高潮・高波が発生しており(例えば2013年台風Haiyan,Mori et al., 2014)、今後も沿岸災害はさらに深刻化することが懸念されています。一方、2004年に発生したインド洋津波では、マングローブによる減災効果が観測され、沿岸災害の軽減策としてグリーンインフラの価値が注目されています。しかし、減災効果を目的とした植林の範囲・保全においては、多様な自然災害・地域性に応じた科学的・定量的な評価手法が現状では不十分です。

 

参考文献

Mori, N., M. Kato, S. Kim, H. Mase, Y. Shibutani, T. Takemi, K. Tsuboki and T. Yasuda (2014) Local amplification of storm surge by Super Typhoon Haiyan in Leyte Gulf, Geophysical Research Letters, American Geophysical Union, 10.1002/2014GL060689

研究概要

本研究開発では、過去に発生した気候変動の影響を踏まえ、台風発達から沿岸部までの大気・高潮・波浪の状況を同時に評価する災害予測モデルを開発します。また、グリーンインフラによる減災効果を検証・評価するための高解像度な海面変動モデルを開発します。さらに、マングローブの生態系分布調査や水理模型実験により、生理的・物理的特性を数値化したモデルを開発します。

これらのモデルを組み合わせ、スーパーコンピュータ上で高速計算を実行し、沖合から沿岸までの減災効果の定量的な検証・評価を行います。スーパーコンピュータには、国立研究開発法人海洋研究開発機構の「地球シミュレータ」などが使用されます。

加えて、グリーンインフラに防波堤などのコンクリート構造物(以下、グレーインフラ)を加えた場合の減災効果を検証し、グリーン・グレーインフラの効果的な組合せを中長期的に評価する仕組みも構築します。

 

プロジェクト概要

本研究開発は、独立行政法人環境再生保全機構「環境研究総合推進費」により実施するものです。

  • 環境研究総合推進費・低炭素領域(低炭素部会)環境問題対応型研究
  • 課題番号:2-1712(2017~2019年度)
  • 課題題目:グリーンインフラを用いた気候変動に伴う沿岸災害の減災評価手法の開発
  • 課題代表:森 信人(京都大学)
  • 研究機関:京都大学,NEC,国立環境研究所,東北学院大学,茨城大学,港湾空港技術研究所
  • 協力機関:コンサベーション・インターナショナル・ジャパン,金沢大学